実績館トピックス
2022年3月18日~2023年3月12日【終了】
2022年度日本現代詩歌文学館常設展 まつりと詩歌
太鼓や笛、鉦の響く音、華やかな衣装、多くの人で賑わう往来―まつりが生み出す非日常は、なぜわたしたちの心をこんなにも高揚させるのでしょうか。
古来まつりは、神仏や祖霊を敬い、祈りと感謝を捧げる儀式として継承されてきました。ときが移り変わるにつれ、人々が集い、交流し、活力を高める娯楽的な行事としても、さらにさまざまな思いが込められ、わたしたちの日常に深く結びついています。
まつりと密接に関わった〈うた〉もまた、時代を、そして人と人をつなぐものと言えるでしょう。詩歌は、一瞬を永遠にとどめ、空間を即座に切り取り、そのときにはともに味わえないものにも、共有できるかたちを与えます。そして、老若男女を問わず、誰もがその担い手になれるという点でも、現代のまつりのありようと重なってきます。
「集うこと」が制限されるというかつてない事態に、脈々と続いてきたまつりの多くが、立ち止まらざるを得なくなりました。いま、現代の詩歌人たちは、どのようなまつりの情景を描き出すのでしょうか。詩歌のことばをとおして、せめてその賑わいのなかを歩き、多様なまつりの場を共有したいと思います。鎮魂と一日も早くこの疫病が終息することへの願いも込め、「まつりと詩歌」展を開催します。
2022年3月18日(金)~23年3月12日(日)
12月~3月の月曜日、年末年始
日本現代詩歌文学館
①「まつり」をテーマにした詩歌作品(現存作家の直筆 54作 / 物故作家・活字46作)
② 特別寄稿・エッセイ 1点
③ インスタレーション「間にあることばのための祭壇」
④ 写真・絵画(複製)11点
⑤ 出品者による朗読音声
北上江釣子ICから 国道 107 号線を釜石方面へ東進約 2.5 km
JR北上駅からタクシー:約 6 分
バス(岩手県交通):駅西口乗場より乗車、まちなかターミナル下車徒歩約 7 分
JR乗換:北上線横手行(本数僅少)1駅、柳原駅下車徒歩約 3 分
日本現代詩歌文学館
024-8503 岩手県北上市本石町2-5-60
tel. 0197-65-1728 / fax. 0197-64-3621
mail. shiika@shiikabun.jp
日本現代詩歌文学館 井上靖記念室に関するプロジェクトレポート
「詩の宝石箱」が納められた小さな蔵
井上靖は詩集『北国』のあとがきで、次のように述べている。『私はこんど改めてノートを読み返してみて、自分の作品が詩というより、詩を逃げないように閉じこめてある小さい箱のような気がした。これらの文章を書かなかったら、とうにこれらの詩は私の手許から飛び去って行方も知らなくなっていたに違いない。』ここに記された「小さい箱」という言葉には、詩の一篇一篇を慈しむような井上靖のまなざしが窺える。このまなざしから詩を鑑賞できること、それを展示の主題とした。…続きを読む