プロジェクトレポート 2015キユーピータマゴ東京工場 EGG BASE「ファクトリーコミュニケーション」
「発想を刺激するさまざまな場づくり」でモノづくりのカタチを変える、「ファクトリーコミュニケーション」の具現化。
プロジェクトの狙い・課題
■B to Bユーザーとの協働で新たな商品を開発・提案する、30年先の工場の具現化
■モノづくりにとどまらない、革新素材・技術・発想豊かな人材を生み出す進化した工場
取り組みの視点・解決策
■タマゴに対する新たな興味や理解を生み出すコミュニケーションの実現
■B to Bユーザーとの対話に基づく商品を試作する、新たなしくみの構築
■発想を刺激し、感じたことを自由に話せる、これまでの工場を超えた環境づくり
BtoBユーザーと夢や課題を共有し、新しい製品を生みだす、30年先の工場へ。
本施設は、外食・中食業界や食品業界などに向けて液卵*を製造・販売するキユーピータマゴの最新工場として、2015年6月にオープンしました。そのコンセプトは、“ファクトリーコミュニケーション”。モノをつくるだけではない、BtoBユーザーとのコミュニケーション機能をもった工場が求められたのです。 当初は工場見学のラインづくりなどから検討が始まりました。しかし、ヒヤリングを重ねるうちに、より深い課題が見えてきました。営業やマーケティングの担当者は、「見学に訪れたお客様に、タマゴの特性を活かしたキユーピータマゴの製品や技術の特徴をプレゼンテーションしたい。そのため に、タマゴ全体についての正しい知識もお見せしたい」。そしてキユーピータマゴのトップヒヤリングで得たニーズは、「お客様と一緒に課題を発見し、課題解決につながる商品を開発・提案する、30年先の工場をめざしたい」–こうした高度な要請に応えることで、本施設は、モノづくりだけでなく革新素材・技術・発想豊かな人材も生まれる、進化したタマゴ工場となったのです。
*液卵:鶏卵を衛生的に割卵・殺菌し、加工後に充填したもの。タマゴを使った料理や食品の材料となります。
知る、発想する、創る。工場の中に、製品開発の可能性がつまっている。
“ファクトリーコミュニケーション”をコンセプトにモノづくりの新しいカタチを実現するため、本施設は大きく3つのミッションを持ちます。
- タマゴの新たな理解・興味の刺激
「たまご資料館」では、BtoBユーザーにタマゴの機能、特性、健康への役割について知っていただきます。キユーピータマゴの製品作りでは、タマゴの特性を活かしたり、タマゴの機能を高めたりしています。そのための基本情報を共有して発想の材料を提供します。
- キユーピータマゴの品質・姿勢への信頼醸成
キユーピータマゴのモノづくりを支える「ベースファクトリー」では、液卵づくりのライン見学通路に沿って、各工程の役割、品質や衛生の管理、生産の合理化などの取り組みを紹介します。安全・安心・高品質を追求するキユーピータマゴのモノづくりの姿勢をご理解いただき、信頼感の醸成をはかります。
- BtoBユーザーに夢や課題を語っていただくきっかけの提供
「コラボサロン」では、BtoBユーザーにどんどん夢や課題を語ってもらうために、これまでの課題解決の事例、新しい技術アイデアを紹介し、対話のきっかけを 提供します。「だったらうちも!」「こんなこともできるの?」といった対話から、新しいアイデアや夢を膨らませます。
キユーピータマゴでは“ファクトリーコミュニケーション”のしくみを日本各地のキユーピータマゴの工場でも応用していくことを検討しています。さらに多くの革新的なコラボレーションを活発化させることで、BtoBユーザーと共に新しいタマゴ食文化を創造していくことをめざしています。
本施設の実現にあたり、私たちはこれまで企業ミュージアムづくりで培ったノウハウや資産を再編集し、“ファクトリーコミュニケーション”によるイノベーション環境の創造に挑みました。「30年先の工場をめざしたい」―キユーピータマゴのトップからいただいた明確なビジョンが、その原動力となりました。キユーピータマゴ東京工場EGG BASE。それは、これからのタマゴ食文化をひらく、可能性の工場です。
- 公式サイト
- http://www.kewpie-egg.co.jp/
- 所在地
- 埼玉県飯能市茜台3-4
- 分野
- 企業文化施設
- 設立主体
- キユーピータマゴ株式会社
- 開館年月
- 2015年(平成27年)6月16日
- 規模
- 延床面積11,272.25㎡ 建築面積 4,516.63㎡ 展示面積483.92㎡
- 業務範囲
- ロゴデザイン
コミュニケーションデザイン
展示施設設計
展示制作・工事 - 展示空間の構成
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文部科学省の革新的イノベーション創出プログラムに、世界中の人々がいつでも十分な水を手に入れられる社会を実現する“アクア・イノベーション”で選ばれた信州大学。このテーマを導いた対話型ワークショップ「フューチャーセッション」を支援し、次の研究テーマを探るために、多様なアイデアを出しあう「オーバルスタジオ」と、集中的に議論を深める「スクエアスタジオ」の対話型空間を構築しました。リラックス空間による参加者の関係性づくりや、音・映像・照明による対話の誘発など、創造プロセスを加速するイノベーション環境を実現しています。