プロジェクトレポート 2015信州大学国際科学イノベーションセンター
次代の研究テーマを探るイノベーション創出のプラットフォーム。
プロジェクトの狙い・課題
■次代を先導するイノベーションのテーマを探る「フューチャーセッション」の環境づくり。
■参加者の議論を活性化する環境の効果的な演出・運用
取り組みの視点・解決策
■アイデアを出しあい、議論を深める二つの対話型ワークショプスペースの空間演出。
■音や照明、心地よさなどで参加者の創造力を刺激する対話環境の創出。
10年後の「あるべき姿」を創る、産学官連携のイノベーション拠点。
本施設は、文部科学省の「地域資源等を活用した産学連携による国際科学イノベーション拠点整備事業」(平成24年度)により、2015年3月に建設されました。同時に、文部科学省および科学技術振興機構が推進する「革新的イノベーション創出プログラム(COI STREAM)」の一つ、センターオブイノベーション(COI)プログラムに採択された「世界の豊かな生活環境と地球規模の持続可能性に貢献するアクア・イノベーション拠点」の中核施設でもあります。その目的は、未来における社会のニーズから取り組むべきテーマを探る“バックキャスト”型の研究開発により、10年後の未来社会を思い描き、その実用化までを推進すること。信州大学はナノカーボン技術をもとに安定的な水の確保に役立つアクア・イノベーションをテーマに、産官学の提携チームによる研究開発を推進しています。 信州大学では、アクア・イノベーションという研究テーマの提案にあたり、「フューチャーセッション」という手法をとりました。「世界中の人々が豊かな生活をおくるためには」というテーマで大学や市民、企業などさまざまな立場の人が議論し、「世界中の人々がいつでも十分な水を継続的に手に入れられる社会」という将来ビジョンを導き出したのです。こうしたアクア・イノベーションの研究成果の展示に加え、「フューチャーセッション」を開催して新たな研究テーマを探るための環境づくりが、私たちトータルメディアの仕事となりました。
「フューチャーセッション」で次の研究テーマを探る、
二つの対話型ワークショップスペース。
「フューチャーセッション」を数多く開き、イノベーションの創出に貢献するためには、多様な参加者が創造力を刺激しあうコミュニケーション環境づくりが求められます。そのために、本施設には、二つの対話型ワークショップの演出空間を用意しました。 「オーバルスタジオ」は多様なアイデアを出し合う空間で、参加者の共感や相互理解をうながし、対話によって理想とする社会の将来ビジョンを描き出すことが目的です。空間は、カーテンによってゆるやかに区切られたオーバル型の空間で、LED照明によって非日常感を生み出す演出を施しています。 「スクエアスタジオ」は集中的に議論を深める空間で、専門家の知見に基づき、将来ビジョン実現のために必要と思われる課題を明らかにします。対話やディスカッションを深めるために、映像投影が可能な4面スクリーンと空間を色づけるLED演出照明を用意し、課題をイメージする映像や照明により演出された環境で未来の課題を解決するアイデアを研究テーマにまで深めていきます。
議論を活性化し、創造プロセスを加速するコミュニケーション環境のデザイン。
対話型ワークショップゾーンの構築にあたっては、“Surrounding”対話環境という考え方を具現化しました。これは、議論を活性化する環境づくりといった意味で、参加者の心理状態を刺激し、対話を誘発するように空間をデザインすること。本施設では、音や映像、照明によりリラックス空間を構築し、参加者の関係性づくりや、対話の誘発など、機能的・心理学的にコミュニケーションを促進する空間を実現。こうした対話環境づくりは欧米では大学や研究機関で行なわれており、信州大学のケースは日本の先端的なイノベーション環境事例の一つといえます。 本施設で実現した対話型ワークショップスペースは、「フューチャーセッション」を加速する環境づくりとして、大学や研究機関、企業のR&Dセンターなどに幅広く応用できます。これまで、文化施設のワークショプで培ってきたノウハウを活かし、私たちはお客様のニーズにあわせたイノベーション支援環境をパッケージにしてご提案していきます。
- 公式サイト
- http://www.shinshu-u.ac.jp/centerforinnovation/
- 所在地
- 長野県長野市若里4-17-1(信州大学工学部キャンパス内)
- 分野
- 公共文化施設
- 設立主体
- 信州大学
- 開館年月
- 2015年(平成27年)6月
- 規模
- 延床面積10,247㎡
展示面積356㎡ - 業務範囲
- 展示施設設計
展示制作・工事 - 展示空間の構成
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イノベーション環境のピックアップ事例
キユーピータマゴ東京工場 EGG BASE「ファクトリーコミュニケーション」
「発想を刺激するさまざまな場づくり」でモノづくりのカタチを変える、 「ファクトリーコミュニケーション」の具現化。 工場を訪れたユーザーとの対話により、課題を発見し、新たな商品開発に活かしていく。そんな“30年先の工場”をめざす「ファクトリーコミュニケーション」の拠点として、2015年6月にオープンしました。ユーザーにタマゴについて正しく知っていただく「タマゴ資料館」、キユーピータマゴのモノづくりへの取り組みを紹介し、品質への信頼を醸成する「ベースファクトリー」、ユーザーと課題を共有し、新しいアイデアや夢を膨らませる「コラボファクトリー」など、ユーザーの声をカタチにする、次代のタマゴ食文化の発信基地です。